文学フリマ新刊(特集:麻生みこと『天然素材でいこう。』詳細の詳細

前号と同じくもうすこし詳しめに。


★特集:麻生みこと『天然素材でいこう。』
いままで、どうしても最新作家の最新作ばかりを特集していた本誌ですが(それは本誌だけでなく、「この漫画がすごい!」他の漫画特集や、漫画レビューブログにも付いて回る問題ですが)、今号ではちょっと前の長編作品を扱ってみようと最初に決めてました。年明けに本棚の各単行本を読み返して、急上昇してきたのが『天然素材でいこう。』。読み返すたびに新たな発見あり驚嘆あり。もっといろいろな人に読んでもらいたい、と思い今号の特集となりました。


・座談会「天然素材シアター観客席」
(卯月四郎・高柳紫呉・プイ・まちこ・真悠信彦・sayuk)

教室の片隅で雑誌を広げて、みんなで覗き込みながらわいわい言ってたあの感覚を! といつも座談会では思ってるんですが、あまりにわいわい言いすぎてかなりネタバレトークに…。くれぐれも(ネタバレ気にする人は)原作を読んでから!でも内容知ってても面白さに変わりないよ!と自己フォローしてみる。


・『天素』全話レビュー&PickUp!(sayuk)
とりあえず全話レビューをしてみた。1話1話がかけがえのない、緊張感にあふれた連載だったとつくづく思いました。


・文庫2巻10ページ5コマ目のこと。(sayuk)
id:sayuk:20090414:p1 と同じ。↑のレビューから派生したもので、ほんとなら全話この分量で書いてしまってもいいくらい。


天素的京都観光のススメ(高柳紫呉/紫呉屋総本舗)
天素』のキャラ名がほぼ京都の地名から取られてるのは作者も言明してるけど、じつはそれもいい加減ではなくちゃんとした意味付けがある!という文章。京都MAP付き。


・わたしはわたしの輪郭に宿る(sayuk)
あいかわももこ『コスメの魔法』、辻田りり子『笑うかのこ様』、そして『天然素材でいこう。』を絡めながら、少女漫画がどのように「ホントのわたし」の外側の「輪郭のわたし」を描いてきたかを探る。ちょっと長めの文。


・理々子ロジック・リリコりりっく(sayuk)
天素』でも一番人気のキャラクター、北大路理々子について。ほとんど出落ちというかタイトル落ち。


・非恋愛体質でいこう。(高柳紫呉)
同じLaLa系作家、六本木綾・柵原望と比較しつつ、「非恋愛体質」をキーワードに『天素』の恋愛の描かれ方を語るエッセイ。



・世界は女の子3人で廻っている(sayuk)

mixiのコミュニティに「世界は女の子ふたりで廻っている」っていうコミュがあるのですよ。ふたりで廻ってるのと同時に3人でも廻ってるよね、ってのはもちろんPerfumeからの連想もある。

天然素材でいこう。 第1巻 (白泉社文庫 あ 5-1)

天然素材でいこう。 第1巻 (白泉社文庫 あ 5-1)



その他:


津田雅美コマ割り研究序説(高柳紫呉)
津田雅美のコマ割りについてはすでに「漫画をめくる冒険」という大きな成果があるが、高柳氏は「ページまたぎ」と「対称性」を軸に分析。図表グラフばりばりな論考です。

eensy-weensy モンスター (1) (花とゆめCOMICS)

eensy-weensy モンスター (1) (花とゆめCOMICS)


・「家族」という名の惑星――萩尾望都スター・レッド』試論(峰尾俊彦/最果て系×××れたセカイ)
スター・レッド』(わたしが初めて買った少女漫画!)を軸に、萩尾が描く「家族」のイメージについて。それは大地/地球的な「家族」とは全く違うものだと峰尾氏は語る。よくよく考えると、本誌で24年組をまっこうから扱った文章は初めてかも。

スター・レッド (小学館文庫)

スター・レッド (小学館文庫)


・きのうみた夢、その他の夢 相模なつき『ひとりにしないで』まとめ(sayuk)
わたしのふわふわ髪好きを決定付けた漫画家、相模なつき。90年代初めから「別冊マーガレット」誌ほかで描かれてきた数々の魅力的な短編を、紹介しないのはあまりにもったいない!

ひとりにしないで (マーガレットコミックス)

ひとりにしないで (マーガレットコミックス)


・「幸福」をめぐる諸問題/『愛すべき娘たち』に対する意図的な「誤読」の可能性(高柳紫呉)
よしながふみも、どうしても多くの言葉で語られてきた作家だけど、『愛すべき娘たち』にある恋愛/関係性/幸福観の特異な描かれ方はやっぱり見過ごせない。「少女漫画を語る本」として、ある意味いちばん直球な原稿。

愛すべき娘たち (Jets comics)

愛すべき娘たち (Jets comics)