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年末年始で今さらながらようやく「あのひととここだけのおしゃべり」と「戦後少女マンガ史」を読んでる(後者はまだ途中)んですが、この2冊があるだけでも07年の少女漫画を巡る言説はかなり豊かだったんじゃないかと思う。どちらもほんとうに少女漫画に対する愛が溢れた本。
「あのひとと〜」は特によしながさんの、少女漫画を何とか語ろう、そしてそれを次の世代に伝えようという誠実さが伝わってくる本だった。ふだん自分は、漫画家の漫画外での発言にあんまり引っ張られないようにしようとインタビューとかも積極的には触れてこなかったのだけれど、ちょっとその辺は反省。漫画には(特に少女漫画には)その人の漫画体験が、そして何よりもその人の人生の体験が凝縮されているというのは当たり前のことなのだけれど、それを対談相手からぐいぐいと引き出す(そして自らも語る)手腕はすごい。気になるあのひとやあのひとともおしゃべりして欲しい!と思うのは自分だけじゃないはず。
「戦後〜」はあとがきで藤本由香里さんがその「公平で的確な記述」を賞賛しているのだけれど、実際読んでみるとけっこう偏りがあるのでは?と思えてくる(そう言えるほど、というか実際は70年代以前の作品をほとんど読んでいないので、全く見当違いな印象なのかもしれないけれど)。それはマイナスではなくて、むしろ公平に満遍なく読み続けてきたからこそ、偏りや贔屓が生じるのは自然なのではないか。学術的にはマイナスなのかもしれないけど、読者としてはそちらのほうがより論者の熱や思いを感じる。実際、「戦後〜」は(一部雑誌連載だったからか)結構くだけた表現も多くて、一見硬めのタイトルからは想像できないくらいに読みやすい。研究者でなくても気軽に手にとって欲しい本だ。
どちらの本も「男性の少女漫画読者」問題に触れていて、結構身につまされる所があったり。
「あのひとと〜」のやまだないとさんの「男の人って大島弓子、分かりたがるよね」って発言には反発を覚えつつも、「戦後〜」には男性読者は萩尾望都を誉めるけど「男達にとっては大島弓子だけは許容できなかったのだ」とか書いてあったり。そのうち、というかもうすでに「男の人って『NANA』分かりたがるよね」「男の人って少コミ分かりたがるよね」「男の人ってBL分かりたがるよね」とか言われるようになるのかも。
(でも男性読者の間にもまた温度差があるよね。「少女漫画とかいいながら○○○○○と「×××××××!」しか扱ってないじゃん!」とか)
この辺はなんというか簡単に扱える問題じゃないなあ。
あと個人的にいちばん驚いたのは「あのひとと〜」にあった、「一条ゆかりがよしながふみの同人誌を読んでる」って話。さすが少女漫画で何十年もトップを張ってる人は違いすぎる。
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