Girls' Comic At Our Best! Vol.02

★特集:水城せとな放課後保健室

1号出た時点で「次はホーホケ特集やる」と決めてて告知してたんですが、スタートが遅れてしまいかなりギリギリで作ることに。「バナブレからホーホケまで」みたいなアオリはさすがに(自分の文章については)誇大広告だと思いました。しかし参加者の原稿が予想以上に集まってしまったのは嬉しい誤算。

Introduction〜『放課後保健室』の作品世界(sayuk)

基本的な作品紹介。

座談会「ホーホケ放談?」(つきもりりう・野上智子・真悠信彦・峰尾俊彦・やごさん・sayuk)

座談会を読んだら、割とみんな作品に不満げなのが面白かった」という感想もあったんですが、やっぱりホーホケは「誰もが納得し共感する傑作」というより「誰もが何か考えさせられる問題作」なんですよね。そのへん座談会でうまく表すことができたなーと思います。

放課後保健室』の構造分析(真悠信彦)

薄井ゆうじ『創世記コケコ』と比較してのホーホケの全体構成についての分析。もともと真悠くんと僕ともう一人友人で「ホーホケいいよねー」って言っていたのがこの特集本の始まりなので(あと、多分自分含めた参加者で一番以前から、一番多く水城作品を読んでるのも彼なので)今回書いてもらえてよかったです。

ゲーム・シミュレーション・メタ少女漫画(卯月四郎)

バトルロイヤルもの・ゲームものとしてのホーホケ分析。ゲーム的な作品というとらえ方をすれば、ホーホケは今の少女漫画の中でもかなり(一面ではあるが)前線にいるんじゃないか。その辺、いろいろ発展的な思考をうながす文章。

彼女達のエクス・デイと放課後保健室(野上智子)

前作『彼女達のエクス・デイ』と比較しつつホーホケを読み解く。「〈傷〉に対してどう振舞うかという問題」が両作品に通底していて、ホーホケではよりそれが洗練されたという指摘は重要。

わたしたちはいつも双子として生まれてくる(sayuk)

「バナナブレッド」「少年は荒野を目指す」「ウテナ」そしてホーホケという流れで書こうかなーと思いつつ、実際は半分自分語りのような。結構いろいろ面白いテーマを出しつつ回収し切れてないなーという(いつものことだけど)感が。

運命に抗う力/資本主義社会の宿命(高柳紫呉)

ホーホケが現実打破の話か運命受容の話か、っていうのは本誌だけでなくあらゆる読者の間でなされていた議論だと思う。社会学的な視点も交えつつ運命論としての、そしてそれを乗り越える形でのホーホケの描かれ方を論じる。

超教育的ロールプレイングゲームとしての『放課後保健室』(峰尾俊彦)

今回の文学フリマの目玉、ゼロアカ道場参加者の峰尾氏ですが、実は前回の文フリにも当誌の原稿で参加してたのでした。美少女ゲームライトノベルのいわゆる「ループ」「閉鎖空間」ものと比較しつつ、ホーホケにあるそれらの作品との大きな違いを指摘する。「東浩紀はホーホケを今年のSF大賞に推すべき」と峰尾氏は言ってたのだけど、実際は…。

ラブストーリィにおける「距離」の意識/マカロニ(sayuk)

ていうか「/マカロニ」って付けたかっただけだろー!って感じの文ですが、やっぱりラブストーリィ関係性についての内容で、距離感のある恋愛関係を描きはじめた少女漫画、しかしそれだけに回収できないいくつかの作品を取り上げる。

放課後保健室 (1) (プリンセスコミックス)

放課後保健室 (1) (プリンセスコミックス)