「真昼のプリニウス」池澤夏樹(ISBN:4122020360)

30代の萌え女性地質学者の話です(大嘘)。読んだのは中2くらいでしょうか。
オカルトとデジタルの差異、みたいな議論をすることは現実にはあまり出会わないと思ってたら前にまさにその機会があって、その時自分がした話が何かに似ていると思ってたら「イリヤの空、UFOの夏」3巻のものがまさに同じ物だったり(まあ元は「姑獲鳥の夏」なんだろうけど)。「科学的な態度」という宗教は予想以上に浸透しているのかも(人によっては「報道」も科学の一種だと思ってる人もいたりね)。
それはともかくこういう議論って昔なら「テーマ」とか何とかで小説の中に織り込まれていたはずなのに、いつからこんな風に小説の1段落(ノベルゲーの1ページ)を使って直接的に喧伝されるようになったのでしょう。実際「真昼のプリニウス」はオカルトとデジタルの共存できない困惑の話で、10ページ(10クリック)ごとにキャラの発言=作者の思想みたいなのも出てこず淡々とストーリーを進めてゆく。関係ないけどこないだ読んだ中公文庫初版では11〜27ページのヘッダが「真昼のプリニウム」になってて、「もしやここに世界の暗黒の陰謀の暗号の隠喩が!」とか思わせる作り(思いません)。
池澤作品は「南の島のティオ」あたりから「やっぱオカルト?」な方向に偏り始めてて、その辺から微妙につまらなくなって来てるという問題が。