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饒舌体

id:tenkyoin:20031230#p3さんの所。 三浦俊彦とか笙野頼子とかも饒舌体に含まれる感じですが、どちらも筒井の流れのような気もします。 三浦俊彦だと、「パロール九段」(『たましいの生まれかた』ISBN:400001286X 所収)か『エクリチュール元年』(amazonに…

「ブッデンブローク家の人々」トーマス・マン

中高生の頃の自分は手帳に読んだ本のタイトルを書き連ねたりする、世が世なら読書サイトとか作ってたような生徒で(今やってるこの日記はそれじゃないのか、と言われると全くその通りなんですが)、それだけじゃなく「その年に読んだ本ベスト10」とか作って…

「書きあぐねている人のための小説入門」保坂和志(ISBN:4794212542)

まだちゃんと読んでないけれど面白そう。段落タイトルに「「猫」を比喩に使わない」というのがあって、全くその通りというか座右の銘ランキング7位あたりに入れたいというかさすがは保坂和志というか。それって多分「小説を何かの「ため」に書かない」みた…

『バイバイ、優しいチェリー』ココロ直 (ISBN:4086002671)

2002年コバルトノベル大賞読者大賞作家。学園の生徒から寄せられるさまざまな謎を解決してくれる正義の味方「ロミオ」の正体は、小さなマンションで暮らす4人の美少年+1人の少女。というか中3〜高2の少年4人をまとめるリーダーが初等部5年の少女って…

『祈りの日』倉世春 (ISBN:4086001896)

2002年コバルトロマン大賞佳作。放射能事故が起きた町の数年後とそこを故郷とする少年の話。ライトボーイズラブかなあと思ってたら、いきなり妙齢のお姉さんが中学生男子を誘惑してる!と驚きの展開。また少年の描き方がいい具合に偏っていて、ほとばしる(…

横川寿美子『初潮という切札』/交野佳奈

で、(また話はずれてゆきますが)初潮とは何なのかということを考え始めていて、たとえば横川寿美子『初潮という切札』(ISBN:479660085X) は児童文学での初潮の描かれ方を論じているのだけれど、ちょっと引用。 初潮であれ月経であれ、これらの作品に描かれ…

新井素子

本日の有里さんに紹介戴いたんですが(ありがとうございます)、そこの紹介文が〈「オリーブ少年」だったというsayuk氏〜〉となっていてこそばゆい感じ。ていうか本物のオリーブ少年から刺されそう。だってOlive本誌なんて2回しか買ったことないし(古本で…

シンクロ

藤本由香里『私の居場所はどこにあるの?』(ISBN:4313870113)を読んでるんですが、名香智子についてid:sayuk:20030911#p1と同じようなこと言ってる!(←失礼)正直言うと藤本由香里をちゃんと読むのは初めてなんですが、15年前(初出時)に言われてることを…

『文壇アイドル論』斎藤美奈子/サブカルアイドルとしての岡崎京子?

『文壇アイドル論』(ISBN:4000246135)を読んでました。 「吉本ばなな」の章で、吉本ばななとコバルト文庫との類似性を誰も指摘してこなかったとあってびっくり*1。少女漫画(特に大島弓子)との類似性を書いた文を読んで、それは新井素子が2000年前に通過し…

「サウンドトラック」古川日出男

読み終わりました。 古川氏の作品って、膨大なプロローグがあってそれが最後の一点に収束してゆくって感覚があるけど、その分今回のはその最後の一点をもっと厚みを持って書いてほしかったという不満足感が。ていうか具体的にはヒツジコちゃんなんだけどね。…

「ダンボールボートで海岸」千頭ひなた(すばる11月号)

すばる文学賞受賞作(19歳で金原瑞人の娘じゃない方)が意外に(?)面白かったです。ボク女主人公(又吉栄喜が苦言。それより「ボク」がカタカナの時点で女性だと分かる自分含む一部の人々の方がどうかと思った)のジェンダーがどうとかの話なんですが、ま…

マリみてとハチクロ

って何か共通する所があるはず! (と書いて後付けで理由を考える) うーん…「三人関係」だけど「三角関係」じゃない所? 『マリア様がみてる』は非「三角関係」的な三人関係をスール制度で人工的に作った一方(『葬儀の日』のような二人組でなく「三人」な…

『銀盤カレイドスコープ』海原零(ISBN:4086301326, ISBN:4086301334)

話題の(いまさら?)フィギュアスケート小説。 ヒロインの(作品紹介に従うなら「高飛車&減らず口」の)魅力に尽きます。毒舌っぷりに「どうして君は、フィギュアのイメージを低下させるようなことばかり言うんだ?」と言われて「私が低下させているとした…

文藝賞

今度の文藝賞受賞は85年生まれ男子高校生だって誰かファウスト編集長に教えてあげて!(あと女子大生と伏見憲明。最終候補3人で3人受賞ってどういうこと) 「渋谷系文学」が渋谷コンプレックスの文学と文学コンプレックスの渋谷との幸福な融合だったように…

傷つけない性・傷つかない意志(1.5)(メモ?)

id:sayuk:20030929#p1の話ってよく考えると、ファウスト系作家(西尾佐藤滝本あたり)の作品に関係しそうと思ったり。西尾維新(戯言シリーズ)なら、哀川潤=傷つけるその場で次々治癒してゆく(「傷つける/傷つけない」の2項に対し「超越的」)、玖渚友…

「カフェー小品集」嶽本野ばら(ISBN:4094080147)

そもそもカフェブームとか喫茶店ブームとかってあんまり信用してなくって、それはそのブームがOlive後期の低迷に同期していると僕が思っているから。id:sayuk:20030908#p1やid:sayuk:20030923#p3に書いてある「可愛いものが世界を変える」みたいな意識はもと…

コバルト年表?

ライトノベル年表(id:sinden:20030919さん)の関係でid:alisato:20030925さんからリンク戴いたのですが、その中に「コバルト年表」という言葉があったので。コバルト文庫の目録みたいなのに公式(?)年表が付いてた気がするんですが、手元に無いし実家に残…

「舞城王太郎=大島弓子」説(2)

id:dbpwriter:20030923さんより。『Invitation No.8』という本(雑誌?)*1について。 中森明夫が舞城王太郎『阿修羅ガール』を、(『桃尻娘』に例える人もいるが) 基本構造は大島弓子の『四月怪談』であると指摘したとこ、 中森明夫と同じこと言ってるー!…

「バースデイ・イブは眠れない」小野不由美(ISBN:4061901834)

やはり個人的な話になるのだけど、少女小説・ボーイズラブ文化をそのまま生きてきた人と、僕みたいに傍からちょこちょこと美味しい所を摘み取りしていた人とでは、当り前だけどそれぞれの分野に関する感じ方がかなり異なっているはず(なので↑のような女子話…

補足。

id:sayuk:20030921#p3の補足。「本日の有里」さん(http://alisato.parfait.ne.jp/diary/200309c.html#21_t2)で言及されていたので。 「ボーイズラブの絵柄が変わってきた〜〜」というのはあまりちゃんとした根拠がなくて、僕がイメージしていた「昔」は90…

男子/女子文化

id:saCLA:20030920#p3さんより。(アンケート言及ありがとうございます) ライトノベル年表(id:sinden:20030919さん)見ると95年前後から男子オタ文化と女子オタ文化が分かれてる(というか後者が言及されていない)のが見えて、やっぱ萌えの登場とリンクし…

「それいぬ」嶽本野ばら(ISBN:4167660121)

id:sayuk:20030917#p2の続きで「それいぬ」も読んでみました。何ていうかこの人の乙女観とか、(多分かなり被ってるはずの)オリーブ少女観ってやっぱり一面的だと思う。批判してるわけではなくて、誰がやっても一面的になるのは当然で、だからできればあと2…

『ブルーローズ・ブルース』『お嬢様を探せ!』久藤冬貴(コバルト文庫)

「帝都浪漫活劇」シリーズ。成金の家に生まれた大正女学生とその家の書生が活躍する話。この辺り読んでると、「マリみて」は百合だからオトコノコに受けたのか恋愛要素が無いから受けたのか少年漫画的友情だからという説が正しいのか、その辺が微妙に思える…

「マヤウルのおくりもの」「ほんとうのたからもの」発売

カトゆーさんの所より。絵本で本体予価1500円らしいです。 よくヤママヤーと混同します。わかってるねんで!?

健全な身体/長野まゆみ『夜啼く鳥は夢を見た』(ISBN:4309006205)

http://www.asahi.com/health/life/TKY200309100240.html について、id:chidarinn:20030911#p1さんの妄想(と言いつつ的確な批評)がとてもステキ。 (以下はあまり↑の話と関係なくなってきますが) 「健全な精神は健全な身体に宿る」という言葉はつまりは、…

カレイドスコープ

今日買った本は『銀盤カレイドスコープ』1,2と『ぐるぐる渦巻きの名探偵 カレイドスコープ・エスケープ』。あと『カレイドスコープ島』買えば完璧ですね。 「Cobalt」見たらマリみてアニメ原画とひびき玲音の漫画はともかくとして、新井素子『チェックメイト…

「ロリヰタ」嶽本野ばら(新潮10月号)

またまた正直に告白すると野ばら作品をちゃんと読むのははじめてなんですが、これがびっくり〜な私小説風作品。それにしても、ロリータファッションとロリコンの確執まではともかく、ロリータファッションとANGEL BLUE(Betty's Blueじゃなくて?というキケ…

「山ん中の獅見朋成雄」舞城王太郎

「群像」7月号見つけたから読んでみたけど、何だか普通ー。密度が足りないのか。掲載分は315枚で「ファウスト」広告には350枚ってあるけど、加筆するのかな? 新潮に載った「我が家のトトロ」も読んだけど(今までの作品に慣れると意外な穏やかさに見えるか…

「阿修羅ガール」舞城王太郎

を、↑の行程中読んでたのだけど、何というか大島弓子を連想させる作品だった*1。かつて橋本治が大島弓子をそう呼んだように、舞城を「ハッピーエンドの(女)王」と呼ぶことにしよう。 気になって調べてみたけど見つからないね。え〜。じゃあ俺様が「舞城王太…

「ファウスト」(5)

ファウスト読了後思ったその他: id:sayuk:20030907#p2とid:sayuk:20030824#p2を合わせて考えてみると、10代デビューの女性作家を記憶だけで上げてみると宮本百合子金井美恵子新井素子大和眞也松浦理英子中沢けい堀田あけみ篠原一綿矢りさ島本理生佐藤智加(…