「山ん中の獅見朋成雄」舞城王太郎

「群像」7月号見つけたから読んでみたけど、何だか普通ー。密度が足りないのか。掲載分は315枚で「ファウスト」広告には350枚ってあるけど、加筆するのかな? 新潮に載った「我が家のトトロ」も読んだけど(今までの作品に慣れると意外な穏やかさに見えるかも)、あんまり使い潰すとあの人みたいになりますよ。(誰とは言わない)
関係ないけど、「暗闇の中で子供」の感想をネットで色々読んでるんですが、作中のある矛盾とそこから導かれるある(明示されていない)仮説に多くの人が言及していて、それ自体は正しい解釈だと思うけど、それが全て「あんなラストだけどハッピーエンド」という言葉と対になっているのが微妙に思えた。それはつまり「でも出来ればあんなラストであって欲しくない、だからこの仮説」ってことなのだけれど、あのラストだからこそハッピーエンドなのでは(つまりあの仮説を採るならそれはハッピーエンドではない)と個人的には思う。ある種のハッピーエンドが事件の解決とか結婚とかを必要とするように、「暗闇の中で子供」のハッピーエンドはあの結果を絶対に必要とするのではないか。
で、この辺でまた大島弓子「ダリアの帯」を思い出して(あれも黄菜が発狂することがハッピーエンドなのだ)、さらに「ジイジイ」も思い出したり。「ジイジイ」は「世界の終わり」を最も美しく描いた作品だと思う。