純愛クラシック10+1

id:sayuk:20031015#p1で取り上げた「FRaU」誌の「純愛特集」について、id:kcoさんが「はてなの女子はid:saltwatertaffy 先輩に倣ってマイ純愛クラシックを挙げるといいと思います!10個くらい!」と書かれているので(id:kco:20031023)、女子でない自分も純愛クラシック漫画を10個くらい選んでみることにします(クラシックじゃない、純愛か?というツッコミは不可)。
とりあえず1つはid:sayuk:20031015#p2でも挙げた石田拓実。あと前にも挙げたのから選ぶと

  • 『パジャマでごろん』ささだあすかid:sayuk:20030917#20030917f2):純愛とはつまり「奇跡的な連続!」
  • 『PARTNER』名香智子id:sayuk:20030911#p1、id:sayuk:20030915#p3):純愛とはつまり「どんな選択肢も正しい(かつ間違い)ってこと!」
  • 『純粋!デート倶楽部』石田敦子id:sayuk:20030917#p1):純愛とはつまりトキメキ!

あたり。あと6つ。
「ミステリベスト100」とかならまだしも、「純愛100」とかで選ぶのは本当に大変な作業だと思う…。
(続き)

純愛ってつまりは甲斐性だよねー、というオトコノコには非常に厳しい純愛定義をみせつける作品。そのくらい涼さんと夜梨子ちゃんの関係はステキだし、甲斐性しか能がない(夜梨子ちゃんには不実ばっかり!)涼さんの振り回されっぷり(またその振り回され方が上手いのだ)も面白い。そして純情だけど甲斐性のないオトコノコは振られるのさ。なんて冷酷な純愛の現実!

そんな傷ついた心を助けてくれるのが、オトコノコ向けラブストーリー少女漫画の2大巨頭たる岡野史佳(もう1人はもちろん谷川史子の史史コンビ)。最初に登場人物6人いたらラストでは必ず3カップル出来上がるとか、でてきた男の子の登場人物はみんなヒロインに淡い恋心だった(とラストで明かされる)とか素晴らしい純愛ワールド。この日記ではさんざん乙女ちっく少女漫画を否定しているように見えますがそれはただ少女漫画の進化を見せる手立てなだけで、実際は乙女ちっくもその後継者も大好きなのです。

  • 「(初期作品のどれか)」西炯子

純愛ってつまりはJUNE愛! 生殖を目的としない性愛だからこそ純化されたものが描けるはず、なんて初期JUNEの意識はボーイズラブの登場で潰えたし、雁須磨子あたりはそういう「ホモセクシュアルを別の思想のために物語的に利用する」やり方から脱却しようとしているんじゃないかと感じるんだけど。そういう意味で西炯子は、ホモセクシュアルに限らないJUNE(なんて言うとオトコノコは混乱しちゃうかも!)を描くことで、生殖からもセクシュアリティからも乖離して二重に純化された関係を表現している。初期作品どれか(初期の5冊ね)とか書いてるのは何故だかどれも手元にないからだけど、よく考えるとデビューからもう15年も経ってるなんてと驚くばかり。

じゃあ人間じゃなくて動物で描けばもっと純愛なはず!なんて猫十字社先生が思ったかは分からないけど、確かに恋愛以降をすべてファンタジーの住人にしちゃえば純愛問題は解決。ぷりん奥さんともっぷ旦那さんの関係は今でも理想な女子たちがたくさんいるはずで、ていうか男子も萌えれ! よく考えるとこれも甲斐性漫画だよね(でももっぷの甲斐性の発揮のしかたが下手で、そこにまたときめく女子多数)。

これこそオトコノコ向けラブストーリー少女漫画! あまりに正確な少年心のトレースにびっくり。一方で少年少女達の話、もう一方で主人公と飼い犬みかんとの話なんだけど、犬と人との関係に比喩すればなんでこんなに分かりやすいのになんでその通りに上手くできないの?という所がまさに純愛。そしてはじめから迷走しまくった少年と、はじめから分かりやすさを押し通した少女がそれぞれ最後に想いを遂げる、というなんてステキな結論! もう一度言うけどオトコノコは必読です。

純愛魂を生きてゆくなら入江紀子作品の言葉は必須!「やさしさを感じ取れるあなたがやさしいのだ」とか。いやし系と言われて「『ボクちゃんをいやしてね? 甘やかしてね? 何しても許してね?』と聞こえますが…」とか。ヤってる最中に「結局どうやってもチンコしか入れらんないってのがつまんねーよなあー」とか(だんだん純愛と離れてる気が)。どこまでが「純愛ドリーム」でどこまでが相手の都合のよい「純愛」で、そしてどの辺りが自分も相手もニュートラルに生きてゆけるホントの純愛なのか、そこの所を入江紀子は厳しく見据えてあれだけはっきりと提示できるんだと思う。

ごめんなさい、一文で言い表せないのでそのうち書きます。あと吉野朔実『ECCENTRICS』とか清原なつのあたりも入れたかったけど枠が足りず残念。