ろびこ『ボーイ×ミーツ×ガール』(講談社デザートKC)

たまにはまじめにまんが紹介してみますが


少女漫画フリークなひとたちに「いま、いちばん注目している新人は?」と訊いたら10人に9人は、デザート誌で描いてる「ろびこ」と答えるでしょう。などと妄想してしまうくらいすごい新人。
なにしろ絵がステキ。少女漫画的な可愛らしさを残しつつ、ずっと垢抜けている(たぶんCUTiE Comicとか(特に吉本蜂矢?)、シュークリーム編集の流れの先にあるのだろうけど。)。シリアス絵・ギャグ絵・キュート絵・リリカル絵とお手のもの。(アルコともタアモとも岩本ナオともまた違うリリカルさが新鮮!)
そしてストーリーも絵と同様、別マ系純愛系少女漫画と岡崎直系のヤングレディースがいちばん幸福な形で融合したみたいな、どちらの系列が好きな人にも(両方とも好きな人にはさらに!)楽しめる作品になっていると思う。むしろそれらの流れは「ろびこ」を生み出すためにあったのだ!と言ってしまってもいいくらい??
1冊目収録の「カラクリ演劇堂」や新刊の表題作とか見ると、ストーリー作りの上手さも実感できる。とくに「ボーイ×ミーツ×ガール」、中学の時付き合っていて、でも何をすればいいかわからずすれ違ってしまった2人が数年後再度出会う、その2人のココロが交互に描かれる様は圧巻。たった数十ページで、いや数十ページだからこそ、ひと粒の果実のように読み手の胸を満たすその完成度の高さ。


デビュー作から10作全部が短編集2冊に収められているのを見ると、デザート編集側としてもかなりプッシュしている新人のように思える。『ボーイ〜』は同誌の菅田うりとともに「フレッシュ&胸キュンラブストーリー」シリーズとして売り出されてるみたいだし、これまで実録&エッチ系雑誌として、他誌に比べてイマイチの注目度だった同誌の新機軸なのかも(デザートでこういう系統っていうと、前は金井千恵あたりまでさかのぼれてしまう気もするし)。とにかく、少女漫画フリークな人たちにはぜひ注目してもらいたい作家の1人だと思います。

ボーイ×ミーツ×ガール (KC デザート)

ボーイ×ミーツ×ガール (KC デザート)

彼女がいなくなった (KC デザート)

彼女がいなくなった (KC デザート)