shin

小説「新色」<fragment>(3)

ほんとうは、《私たちの話す言葉ははじめからいくつもの間違いを含んでいて、》それは私たちが言葉を覚えるその以前からそうで、その上に私たちはしばしば言いよどみや、打ち間違いや不確かな発音を重ねるのだから、それは澱のように私たちの意識に蓄積して…

小説「新色」<fragment>(2)

(3回くらいは続けてみます) 夢想学者によれば、夢想には8つのphaseがあるという。 a/語り得ないこと。b/記憶、記憶が必要とする時間。c/夜。d/椅子に因るもの。 ヘレン・アボット・アボットの『夢想学』は半年前に、東実と一緒に図書室の書庫か…

小説「新色」<fragment>(1)

フラグメントになった文章、フラグメントのような物語を書こうと思った。なぜならわたしが得られたのは断片だけだったから、わたしは彼女の連続や、彼女達の連続や、彼女達でないものの連続になりたかったのに、わたしはわたしの連続にしかなれなかったから…