「未来の破片」ASIAN KUNG-FU GENERATION

優れたロックは息継ぎ(息遣い)が美しい、という無理やりな仮定(しかしNUMBER GIRLBLANKEY JET CITYのそれを思い浮かべればあながち間違いではないはず)にもとづくなら、アジカンの実質デビュー曲「遥か彼方」は歌い出したった2文字でそのハードルを超えてしまったと言える。実際自分がこの曲を思い浮かべる時、頭に流れるのはサビではなく始めの部分。新曲の「未来の欠片」でも、ボーカルの息遣いにばかり注意が行ってしまう。
注意すべきは良い息継ぎがイコール美しい息継ぎではないことで、詞の一語一語、声と息の一音一音を最適にコントロールしようとしながら、それでも曲の果てへ疾駆する情動や焦りがそれを崩してしまう、その息遣いが「美しい」。だから、曲CMで流れるのも達してしまったサビではなくずっと途中の、スパイクで深く刻むかのような発声を使って(そしてこの数年増えた凡百のロック曲と比較して)欲しい。
それにしても、アジアンカンフージェネレーションっていう名前だけは4年くらい前から聞いたことあったけど、こんな良い曲だったとは。損した感じ。